準備段階で必要な予算の判断基準

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準備段階で必要な予算の判断基準

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宅建士/AFP/PMP®など。不動産オーナー向け教育事業、東京大家塾(2006年〜)や不動産実務検定®認定団体J-REC理事・東京第1支部長・認定講師(2008年〜)として累計3万件以上の不動産投資・活用・トラブル相談の経験から失敗しない不動産活用を体系化。Google★4.8/215件〜・Udemy講師★4.2/972名〜・ココナラ個別相談★4.9/123件〜。著書/共著17冊・講演実績全国25団体〜・寄稿/取材協力多数。

最新記事 by J-REC公認不動産コンサルタント 大友哲哉 (全て見る)

まだ不動産を買う前で不動産収入が何もない状態だと、不動産収入を得るための準備にお金を払うことに抵抗があるものです。

ですが必要性は理解できます。ただ、高いのか安いのか、いくらまでなら使ってもいいのかが分からないものですよね。

いくつか考え方を紹介します。

全体で使うお金の合計から逆算する

あなたはいくらの商品(物件)を購入するつもりなのでしょうか。

例えば、物件価格の1%程度の金額で、どれだけ成功率が高まるのか、そしてどれだけ成功が早まるのか。さらに、失敗をどれだけ防ぐことができるのか。

1,000万円の物件を購入するなら、その1%は10万円です。5,000万円なら50万円。1億円なら100万円。最終的に3億円を目指すのなら300万円? こう考えるとキリがありません。

実際のところ、授業料は自分がどのぐらいのお金を稼ぐつもりなのかにより変わります。

10億円規模を目指す方と3,000万円規模を目指す方とで比較する意味はありません。

つまり、絶対的な授業料が高いのか安いのかを判断することは難しいのです。

小学校〜大学までの学費と比較する

それでも比較するとしたら、今までの授業料と比較してみましょう。

例えば、通常の教育費(小学校〜大学卒業)であれば、1,000万円から2,500万円くらいと言われています。

この教育費によって、あなたは今の収入を得ることができるようになったと考えることができます。

そこで、まずは一般的な大卒の会社員の生涯年収を約3億円と仮定します。そうしますと、教育費の割合は生涯年収の3.3%~8.3%程度となります。

これを不動産投資の勉強に必要な授業料等にも当てはめてみましょう。

教育費の割合を先程の割合の中央値で5%とします。

例えば不動産で月収30万円が欲しいとしましょう。年収は360万円になり、30年間の合計が10,800万円で教育費を5%で計算しますと、540万円となります。

もちろん、この540万円は1年で使うものではありません。教育の期間を10年間とすれば、1年間あたり54万円ぐらいが教育費としての目安と考えても良さそうです。

高額塾に注意しよう

ここで注意したい高額塾のパターンを紹介します。

というのも、私も以前に高額塾にお金を払いました。しかし、思ったような成果を得ることができなかった経験を繰り返しています。お恥ずかしながら、この失敗のほうが直接的な不動産の失敗より大きな損失を出しています。

そこで、同じ道をあなたが歩むことのないように、私の過去の経験・高額塾を仕掛ける側のやり口や心理テクニック等から研究した成果をお伝えします。

高額塾に共通する5つのパターン

この5つのパターンのうち、全て当てはまる場合、極めて慎重に検討すべきです。今の私なら、その場ですぐ断って帰ります。相手の言うことに一切、耳を貸しません。

5つを順に説明します。

① 受講料は一括前払いで月会費コースがない(分割も不可)

分割ができたとしても、それはクレジットカード会社に後から手続きしてください、となります。つまり、主催者側には一括でお金が渡ります。

今回の話に限らず、お金を払った後に返してもらうことは極めて難しいものです。確かに、裁判とは言わないまでも、紛争対応の制度はいろいろあります。しかし、相手が話し合いに応じなければ意味がなく、仮に裁判で勝っても相手が返金するかは別問題なのです。

例えば、その法人に資産がなければ差し押さえも意味がありません。そもそも、連絡しても返事がない・居所が分からないということもあり得ます。こうした状況に司法制度は無力なのです。

このケースでやるとしたら、クレジットカード会社にクレームを入れて返金してもらうことになります。そういう意味では銀行振込よりクレジットカード決済のほうが、実は安全なのです。

② 返金保証がない(30日間の返金保証など)

前払いであるにもかかわらず、返金の保証がないのは危険です。先に説明したように、最悪、お金を払った後に連絡が途絶える可能性もあります。しかも、説明通りのサービスの提供がない可能性もあります。約束通り・期待通りのサービスが提供される保証はないのです。

③ 説明会の後すぐに申し込みを迫られる

これを専門用語で浅慮(せんりょ)と言います。冷静に考える時間を与えないことも販売戦略・心理テクニックの1つなのです。不動産販売の現場でも良く使われますし、詐欺の実務では、このテクニックを極めて重要な使われ方をしています。

④ 今すぐ申し込むと凄い特典や特別な割引があると提案される(しかし後で申し込むことはできない)

例え、特典は要らないので、明日に申し込みさせてくださいというと、それはできないと言われます。これも浅慮の1つです。

⑤ 個別コンサルティングや個別相談のお試しがない

個別相談の1時間程度のお試しもないのも疑問です。こうした塾では個別相談はサービス内容の重要な部分です。私たちとしては、しっかり吟味したいところなのです。

しかし、それをさせてくれないとなると、やはり疑問です。どういうことなのでしょうか?

以上のように、1日も冷静に考える時間を与えないサービス提供者には、十分に気を付けたいところです。

もちろん、5つのパターンのうち、1つや2つなら良いのです。しかし、5つ全て当てはまる場合には「そういうつもり」で開催している人たちなのだと考えるのが無難です。

繰り返しますが、私は5つ全て当てはまる塾やセミナー等で勧誘された場合は、何も考えずに即座に断り席を離れます。

そこで、私の主宰する東京大家塾はどれも当てはまりません。笑。

なぜ、ここまで高額塾に気を付けるように話しているのかと言いますと、消費者契約法という法律と関係があるからです。

大家さんは消費者契約法で守られない

先ほど、少し紹介した浅慮です。浅慮とは、商品の購入において冷静な判断ができない状態のことを指します。

消費者契約法は契約の取り消しや無効にできる法律です。この法律は、その名前の通り、消費者にしか適用されません。

ここで認識して欲しいことは、大家さんは消費者ではなく、事業者として扱われます。

つまり、大家さんになるための勉強も含めて、消費者契約法の対象外になる可能性が高いのです。つまり、商品の購入において冷静な判断ができると扱われます。

基本的に保護してくれる制度や法律がありません。十分に冷静な判断のできる時間(最低でも1日)を取って判断するようにしましょう。

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#3つの準備段階シリーズ
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