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大家さんのサブリースで騙された!? 6つのパターン
ここでは大家さんのがサブリースで騙された!? そんなはずではなかった!? 契約違反ではないか!? と相談にこられるパターンを解説します。
その1)大規模修繕の提案の時期が早くて高い
あれ? 新築したときは、建物の性能は高くて長持ちするって言ってたような? そう。そのための定期点検とメンテナンスなんです。
ってなやりとりで、外壁や屋根などの共用部分の改修工事の点検とメンテナンス工事の提案が10年目にやってきます。そして、出てくる見積もり金額が高い。知り合いの工務店に見てもらっても高いという。
とはいえ、特殊な工法で建てられているのでハウスメーカー指定の業者でないと工事ができないという。だから相見積もりが取れない。どうしても別の業者で工事するというのなら、建物の性能保証ができなくなるので、サブリース契約は解除すると言われます。
こうなると大家さんは弱ってしまいます。これまでアパート経営=通帳記帳だと思っていたわけですから。しぶしぶ工事を受け入れることになります。これまで蓄えてきたお金がスッカラカンになることも珍しくありません。場合によっては足りなくて借金することもあるでしょう。だからこそ、相談相手を探し求めて私のようなところに来るのでしょう。
その2)保証家賃は同じ金額で35年間も保証されるわけがない
某大手ハウスメーカーは、今でも日経新聞の一面広告を使って「35年保証」と大きな字でえらそうに宣伝しています。そんなの私にだってできます。なぜなら「2年ごとに保証家賃を見直します」と小さな字で書いてあるから。字の大きさを逆にしたほうがいいのではないかと思うのですが。
保証家賃の減額が嫌だといったら?
そうなれば、サブリース契約は解除です。となると、それまでサブリース会社まかせでアパート経営の仕事は通帳記帳だけという大家さんにとって、ほかの不動産会社に管理委託契約をするだとか、自主管理をするだとか、まず無理な話です。すると、家賃の減額の提案は受け入れるしかありません。ここでやっと「うわっ! 私、騙された!?」と気づくのです。ちなみに、ここまでサブリース会社は、法律違反も契約違反も、何一つしていません。
その3)家賃の減額は2年どころかいつでもできる
過去の相談事例で、新築から2年を待たずに家賃減額の話が来たという相談がありました。これって契約違反ですよね? ・・・そうですね。確かに、契約書には2年ごとに保証家賃を見直すと書かれています。
ですが、法律違反ではないのです。借地借家法には、相場が下がったらいつでも減額請求できることになっているのです。そして、この権利は契約で不利な条件に変更することはできないことになっているのです。要するに、家賃の減額は近隣相場に合わせていつでもできるのです。
つまり、このケースは、計画時に家賃相場より相当高い家賃を設定していたのです。そして、いざ完成して募集したものの、想定した家賃では満室にならなかった。そこで相場並みに減額して満室にした。だが、それではサブリース会社が赤字なので、大家さんに保証家賃の減額を申し出た。相場より高い家賃を相場並みに下げてほしいと。法律には違反していませんので、訴訟しても負けます。
その4)敷金・礼金・更新料はサブリース会社のもの
すでに述べたとおり、入居者から見た貸主はサブリース会社。そのため、入居者の支払う敷金・礼金・更新料はサブリース会社のものです。敷金は預かり金であるのでいいとしても、礼金や更新料の収入は見込めないこととなります。
その5)契約直後からすぐに家賃が支払われない
サブリース契約には免責期間というものがあります。免責期間とは、新しく入居者を募集するにあたり準備する期間が必要なので、その間は大家さんに家賃は払わないよ、ということです。おおむね2〜3ヶ月間です。そして、仮にこの期間に入居者が入っても、その家賃はサブリース会社の丸儲けとなります。釈然としませんが、そういう契約が一般的なのです。
その6)建物や各部屋の維持費やリフォーム代など全て大家さん負担
サブリース=一括借上のイメージは、建物1棟丸ごと借り上げてくれるイメージです。そのため、
- 建物のメンテナンス費や清掃費
- 共用部の電気・水道代
- 入居者の入れ替えにともなう原状回復費
なども、サブリース会社の負担かと思いきや、大家さん負担です(契約による)。
このあたりの費用は、特に新築時は大した費用はかかりません。ですが、大家さんの無知をいいことに水増しした金額を請求することも、ままあるようです。