アパート・マンション経営の失敗

不動産実務検定

アパート・マンション経営で失敗する5つの理由と回避策

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宅建士/AFP/PMP®など。不動産オーナー向け教育事業、東京大家塾(2006年〜)や不動産実務検定®認定団体J-REC理事・東京第1支部長・認定講師(2008年〜)として累計3万件以上の不動産投資・活用・トラブル相談の経験から失敗しない不動産活用を体系化。Google★4.8/215件〜・Udemy講師★4.2/972名〜・ココナラ個別相談★4.9/123件〜。著書/共著17冊・講演実績全国25団体〜・寄稿/取材協力多数。

最新記事 by J-REC公認不動産コンサルタント 大友哲哉 (全て見る)

アパート・マンション経営による家賃収入で左うちわ生活を夢見る…その一方で失敗したときのことを考えると、カンタンには手を出せませんよね。ここでは失敗する2つの理由と回避策を、私の3万件を超える相談事例を総括して解説します。

そもそも失敗とは何か?

そもそもアパート・マンション経営の失敗とはなんでしょうか? その答えは、アパート・マンション経営に限らないのですが、大きく2つあると考えます。それは次の2つです。

  1. こんなはずではなかった!
  2. もっといい方法があったのに!

1つ目は、自分の思っていたものと違ってしまったケース。例えば、思っていたほど儲からなかった(それどころか損をした)、2月に完成するはずが5月に完成したのでなかなか満室にならない、鉄筋コンクリート造なのに騒音問題が発生した、などなど。まとめると、コスト(余計なお金がかかる)・時間(スケジュールの遅れ)・品質の3つのどれかの問題に集約されます。

2つ目は、投資スタイルの問題です。例えば、マンション1室ではなく1棟アパートの方がよかった、中古より新築の方がよかった、遠隔地より自宅に近い方がよかった、などなど。

「こんなはずではなかった!」の失敗事例

もう少し具体的に失敗事例を紹介します。土地から新築一棟アパート投資の例です。

  1. 8室の計画が実際には7室しか取れない → 2000万円損害
  2. 設計費を払った後に融資NGで計画中止 → 300万円損害
  3. 工事着手金を払った後に融資NGで計画中止 → 500万円損害
  4. 工事中に施工会社が倒産して追加資金が必要 → 1000万円損害
  5. 想定外の税金が後になって課税される → 100万円損害
  6. 着工後に地中埋設物が見つかり撤去に追加費用 → 150万円損害
  7. 後から後から追加で工事が発生する → 600万円損害
  8. 工事遅延で募集の旬(3月完成)を逃す → 200万円損害
  9. 近隣トラブルが発覚して工事中止 → 400万円損害
  10. 入居後の手直し工事の対応が遅くクレームの嵐 → 100万円損害

確かに、土地から新築一棟アパートを建築して満室経営を実現するには、ハードルの数も多く、高さも高い部分が多いものです。しかし、いずれも素人の失敗ではなく、それなりに不動産に関する本を読んでいたりセミナーで勉強をしていたりする人たちの失敗事例(相談事例)です。どれもこれも「こんなはずではなかった!」の失敗事例です。

「もっといい方法があったのに!」失敗事例

もっといい方法があったのに! と後悔して相談にいらっしゃる方の傾向をご紹介しましょう。

  1. 新築区分マンション投資 → 毎月のキャッシュフローがマイナス・節税効果がだんだん薄れてくる
  2. 新築一棟アパート投資 → 毎月のキャッシュフローが微々たるもの・空室リスクが大きい
  3. 地方一棟マンション投資 → 毎月のキャッシュフローが微々たるもの・修繕費か掛かりすぎる

そして共通することは、今、売却しても借入金を完済できないことです。それだけ割高な価格で取得しているのです。ここまで来てやっと失敗に気が付くのです。

なお、いずれの投資手法も絶対的に悪いわけではなく、他の投資スタイルのメリット・デメリットを理解した上で、選択しているのなら、失敗とはいえないものです。

こうした失敗をして後悔してしまう原因は何でしょうか? 5つに分類されますので、順に紹介します。

失敗の原因その1「専門家のエリア問題」

専門家のエリア問題

専門家のエリア問題

アパート・マンション経営には、さまざまな専門家が登場します。ですが、どの専門家も自分の業務範囲を超えた業務もアドバイスもしない・できない・するつもりもないので、誰も考えていないスキマがどうしても生じてしまいます。

この認識がないと「きっと管理会社がやってくれるのだろうな」とボンヤリと考えていたら、管理会社はその問題にノータッチで小さな問題が大きな問題になってはじめて気が付く…というケースに陥ります。

では、この専門家のエリア問題は、どのような解決方法があるのでしょうか?

その答えは2つあります。

1つは、自分自身のアパート・マンション経営の全体の実務知識を向上させることです。そうすることで、専門家のエリア問題のスキマが見えてくるので、自分で埋めたりいずれかの専門家にちょっと業務範囲を超えた仕事を依頼したりといった方法で解決できます。

もう1つは、アパート・マンション経営コンサルタントに助けてもらうことです。このコンサルタントは、各専門家の業務範囲はもちろん、スキマについても熟知していますので、全体を俯瞰してあなたをサポートしてくれるでしょう。

失敗の原因その2「特定の専門家の意見を全体に適用する」

アパート・マンション経営に行き詰まった相談者が口を揃えていうことに「●●の紹介だから間違いないと思った」という言葉があります。例えば、税理士が言うから間違いない、銀行が融資してくれるのだから間違いない、管理会社が任せてくれれば大丈夫というから間違いない、と思ったのにというのです。

失敗の原因その1に通じることでもあるのですが、特定の専門家は自分の領域の専門家であり、アパート・マンション経営の専門家ではないのです。そのため、節税という意味では税理士の意見は正解であっても、アパート・マンション経営としては不正解であることがあるのです。同様に、銀行が融資をしてくれるのは、担保力があるからであって、アパート・マンション経営のお墨付きを与えるものではありませんし、管理会社は借入金の連帯保証人でもないですから、最終的な責任は何も負うわけではないのです。

ちなみに、ここで例を出した税理士・銀行・管理会社は、いずれも大手ハウスメーカーを紹介することで本体工事費の3%の紹介料が入りますので、アパート・マンション経営を勧めることはせよ、止めることはしないものです。

この失敗を避ける方法も、専門家のエリア問題の解決方法と同じです。1つは、自分自身のアパート・マンション経営の全体の実務知識を向上させることです。もう1つは、アパート・マンション経営コンサルタントに助けてもらうことです。コンサルタントには、全体を俯瞰してあなたをサポートしてくれることを期待できます。

失敗の原因その3「近視眼のワナ問題」

近視眼のワナ問題

近視眼のワナ問題

こちらは、例えば土地から新築アパートを建築するにあたり、土地探しばかりしていて、入居募集や管理や税金のことを後回しにしていると、いざ、その時が来た時に修正のできない問題に直面して失敗するパターンがよくあります。

この問題には、どのような解決方法があるのでしょうか。これまた専門家のエリア問題の解決方法と同じです。1つは、自分自身のアパート・マンション経営の全体の実務知識を向上させることです。もう1つは、アパート・マンション経営コンサルタントに助けてもらうことです。コンサルタントには、時間軸も含めた全体を俯瞰して、あなたをサポートしてくれることを期待できます。

失敗の原因その4「デッドクロスの認識不足」

デッドクロス問題

デッドクロス問題

その4は財務上の問題です。具体的には、アパート・マンション経営は、新しいほど節税効果が高く手元にお金が残りやすく、古くなるに従い、節税効果が薄れてお金が残らなくなります。これは、何も古くなってきて家賃収入が減るだとか修繕費が増えるだとか、そういった問題とは全く別の問題です。

デッドクロス問題は、図のように、減価償却費と元金返済による財務上のトリックです。年を追うごとに節税の幅は縮小し、デッドクロスを迎えると今度は、節税にならない金額がどんどん拡大していくのです。これは、物件を建てる前(買う前)からシミュレーションできますので、熟知しておくべき事項です。

では、このデッドクロス問題を解決する方法はあるのでしょうか? 答えは「ありません」。借入金がある以上、デッドクロスは当然訪れるポイントです。あとは、何パターンかシミュレーションを行い、借入金の返済条件や減価償却費の計上方法を検討したり、古くなった物件を売却して新しい物件に買い換える(資産の入れ替え)をすることです。全物件の減価償却費と元金返済を合計したグラフを作成して、シミュレーションをして打つ手を決めることになります。

失敗の原因その5「入居者視点の欠如」

入居者目線の欠如

入居者視点の欠如

最後の失敗の原因は、入居者視点の欠如です。

例えば、図のような女性限定物件の場合、中年男性の建築士・中年男性の施主・中年男性の不動産コンサルタント(私)の三者で、特にデザイン面を考えるのはおかしなことだとお分かりいただけるかと思います。

そこで間取りや設備については、地元の不動産会社にヒアリングを行い(直接お部屋さがしのお客様と接する方)、デザイン面については20代の女性にウェブアンケートを行い、最終決定しています。今はこうした方法が取れるのです。

もっといい方法があったのに! の後悔を回避する方法

アパート・マンション経営の後悔

アパート・マンション経営の後悔

いまは、いろいろな情報が飛び交っているので、何が何やら分からず混乱するのも無理はありませんよね。

  • 人口減少     なのにアパートは増加する一方!?
  • 持ち出しが必要  コストばかり掛かり手残りどころじゃない!?
  • CFが出ない   節税・生命保険目的の新築区分ワンルーム!?
  • 利回りはいいが  首都圏狭小新築1Rアパート!?
  • 一気にメガ大家  いずれ大規模修繕が必要な築古一棟物件!?
  • 土地から新築   ハードルの数も多く高さもある上級者向け?
  • コツコツ地道に① 中古戸建賃貸!? でも外観と耐震性が!?
  • コツコツ地道に② 管理費・修繕積立金を強制徴収の中古区分!?
  • 地方か都市部か  都市部が安心だけど利回りが低すぎる!?
  • 1Rか家族向けか  実は、実質利回りに大差はない!?
  • 驚異の変化球   再建築NG物件・古家再生・賃貸併用住宅!?

どの投資スタイルが自分にピッタリなのでしょうか。少なくとも、業者主催の無料セミナーを1回聞いただけで決断するのはやめてほしいと思います。用意周到に作り込まれたストーリーがあり、他の投資スタイルとじっくり比較検討することなく、、ついつい契約したくなってしまうからです。

では、具体的に、どのようにしたらいいのでしょうか?

それは、いろいろな人の話を聞くことです。とりわけ大家さんの集まるコミュニティーに参加することです。どのコミュニティーも定期的にセミナー(勉強会)を開催していて、入会しなくても少し高めの参加費で受講できます。そして、懇親会にも参加して、主催者だったり先輩大家さんの話を聞いたりして、自分に合った投資スタイルは何かを相談してみるといいでしょう。他にも次のような活用方法があります。

コミュニティーの活用方法その1メンター・モデリング

ゴールから逆算した
ロードマップを描いてもらおう!

メンター・モデリングの活用

メンター・モデリングの活用

主催者や先輩大家さんにゴールから逆算して、いま何をすべきかをアドバイスをもらえると無駄がありません。このとき、相談するときには、自分のゴール(目的)は何かを答えられるように準備しておくことです。例えば「3年後に月額キャッシュフロー50万円ほしい。なぜなら・・・」と言ったようなものです。

コミュニティーの活用方法その2専門家チーム(実行チーム)の構築

信頼できる専門家を紹介してもらおう!

専門家チーム(実行チーム)の構築

専門家チーム(実行チーム)の構築

通常は、士業の知り合いなんていないものです。そのため、税理士など、どのように探したらいいのか、どのように選んだらいいのか、見当もつかないものです。そうなると、コミュニティーから紹介してもらうのが現時点ではベストと言えます。そして、大家としてのレベルが上がってきたり、士業の知り合いが増えてきたりしたら、より自分にあった士業に変更するといいでしょう。

コミュニティーの活用方法その3切磋琢磨できる仲間たち

場の力を味方につけよう!

切磋琢磨できる仲間たち

切磋琢磨できる仲間たち

アパート・マンション経営や不動産投資は、意外と孤独なものです。そのため、モチベーションを維持することが難しいものがあります。そんなときにコミュニティーの仲間がいると助けられることが多々あるものです。大家さん仲間と交流が増えれば、大家さんになるのが当然のように思えてきます。ただ、コミュニティーによって、大家さんの種類(?)や質(?)が異なりますので、自分に合ったコミュニティーに入ることです。

コミュニティー選びの注意点

中には単なる投資用不動産の営業を目的としたコミュニティーもどきがありますので、ご注意ください。

コミュニティー選びの注意点

コミュニティー選びの注意点

特に、図にあるような投資塾は、入ってみないとわからないものなのに、何ら保証がないので、要注意です(無条件にダメと言うつもりはありません)。

ちなみに、東京大家塾は投資塾ではなく経営塾なので、特定のコースの方に限り物件紹介や取得のサポートをしていますが、基本的に「物件をどんどん買いましょう!」と言うコミュニティーではありません。また、1ヶ月返金保証がありますので「ちょっと思ってたのとちがうな〜」となりましたら、事務局にご連絡いただければ、初月の会費を全額ご返金させていただいています。

最後に…不動産コンサルタントに任せっきりもいけない

コンサルタントが何をしているのか理解できないリスク

不動産コンサルタントに任せっきりもいけない

コンサルタントが何をしているのか理解できないリスク

これまで、アパート・マンション経営の失敗を回避する方法として、業務全体はもちろん時間軸でも俯瞰できる不動産コンサルタントの活用もオススメしてきました。ですが、その不動産コンサルタントの提案が真に自分の目的に合致しているのかを理解できるのかどうか、それはあなた次第となります。

となると、アパート・マンション経営の失敗を回避する、もう1つ方法…自分自身のアパート・マンション経営の全体の実務知識を向上させることが欠かせません。

具体的には、手前味噌で恐縮ですが、不動産実務検定ホームスタディー講座の活用です。DVDまたはオンライン動画とテキストで自習を行い、2日間の実務合宿でさらに理解を深めることです。この実務合宿のときの講師は、J-REC公認不動産コンサルタントですので、引き続き相談できる相手なのかどうか見定めてもいいでしょう。その他、J-REC公認不動産コンサルタント主催のセミナーなどもありますので、あちこち参加してみて自分にあったコンサルタントやコミュニティーを見つけてみてください。


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