築年数を素早く計算できます。下記に建物の建築年月を入力すると、今日の日付で築年数を自動計算します。
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クイックツール ▶築年数 ▶耐用年数 ▶境界確定 ▶登記費用 ▶ 建築単価
以下、築年数を深堀していきます。余談が多めです。
築年数とは? 築年数の定義とは? 数え方は?
そもそも築年数とは、建物が完成した日(具体的には建築基準法上の完了検査日…建築基準法を遵守していることを検査して合格した日)からの経過年数のことです。完成日=検査日は、検査済証に記載があります。
ちなみに、人間の誕生日と同じ数え方で大丈夫です。完成した日(生まれた日)の1年後が、築1年(1歳)となります。
なお、平成初期のころまで、検査済証のない建物は珍しくありません。金融機関がコンプライアンス(法令遵守)に厳しくなるにつれて、建築基準法を遵守している証拠となる検査済証を求めるようになりました。
以前は、工事着工前の建築確認の手続きだけで、実際に完成した建物は設計図にはない屋根裏部屋を作ったり、陸屋根(平らな屋根)の上に小屋を作ったり、駐車場を部屋に改築したりは珍しくはありません。
もちろん建築基準法違反(→アウト)で中古売買に悪影響があります。似たようなもので、当時の法令には遵守していたが、今の法令には合致しない既存不適格(→セーフ)とは扱いが明確に異なります。
築年月日の確認方法は? 調べ方は?
あなたや家族が建てた建物なら、設計図書と一緒に検査済証も保管されているはずです。
中古建物の場合や、検査済証が見つからない場合は、法務局という役所で建物の登記事項証明書(昔は「登記簿謄本」と呼んでいました)を取得しましょう。法務局は地域ごとに管轄がありますが、登記事項証明書を取得するだけなら、全国どこの法務局からでも全国の建物の登記事項証明書を取得できます。平日の日中に訪問できなくても、オンラインで取得できます。郵送も可能です。取得代行業者もいます。
下記は参考までにオンラインで土地の登記簿を取得する方法です。
ちなみに、登記事項証明書は住民票とは異なり、誰でも取得できます。東京ディズニーランドの各アトラクションやお台場のガンダムも建物として登記されているそうなので、築年数を計算できます(私は無粋だと思うので確認していません)。
登記事項証明書の注意点を1つだけ。
金融機関など、提出先によっては、オンラインで取得したPDFファイルを印刷したものはNGとなることがあります。法務局が発行した押印のある登記事項証明書に限られる場合があるのです。
私は電話して確認したのに、提出後にNGとされたことがあります。一般的な民間企業なら「わざわざ確認したのに後からNGだというのなら、そっちの費用負担で取得して確認すればいいじゃないか!」と言いたいところですが、金融機関が相手ですと「すみません、じゃあ融資できません」で終わります。
何年まで貸せる? 使える? 住める?
単純に「貸せる」「使える」という意味…これを「物理的耐用年数」や「耐久年数」と言い換えますと、一般的なイメージよりずっと長くなります。目安(本当にあくまでも目安です、目安なんです、しつこいようですが目安です笑)は、次の通りです。
- 木造:65年
- 鉄骨造:100年
- 鉄筋コンクリート造:120年
目安だと3度も繰り返したのには訳があります。
例えば、木造とひと口に言っても木材の種類にもよります。原木の種類という意味もありますし、無垢材なのか集成材なのかという意味もあります。無垢材も集成材にも種類があります。また、施工方法も複数あります。施工精度も良し悪しがあります。メンテンナンスの状況にもよります。
まだあります。柱や梁(躯体)は木造だとしても、外壁・屋根・バルコニー・設備類は、そもそも木材で造られていはいません。先ほどのメンテナンスとは、こうした躯体以外の部分の状況がどうなっているのかの意味合いが強くなります。
ほかにも経済的耐用年数という考え方があります。
いろいろな意味で使われますが、例えば「大規模修繕するより解体して新築したほうが儲かる」と判断することがあります。例えば、日本橋や丸の内のような一等地ですと、家賃相場の上昇にともなって、築30年に満たないオフィスビルを解体して新築するような事例がいくつもあります。
ほかには、階高が足りないという物理的な問題があります。
例えば、30年前に比べて、今はコンセントの数はもっと必要ですし、無線LANがあるとは言え通信の安定性を重視するとなれば有線LANを採用します。このとき、床下に配線しようと思い床を二重化すると天井高が低くなります。そうしますと、圧迫感が増して、そこで働く人の労働生産性に影響があるそうです。つまり家賃が高く取れません。
天井高は物理的にどうしようもないので大規模修繕より解体・新築を選ばれることになります。
良い専門家×悪い専門家の見極め方・扱い方
こうした背景があるため、専門家であればあるほど、構造別に「実際のところ、何年いけますか?」という一般人の素朴な疑問に、すんなり答えてくれません笑。
「えっ?そんなに難しい質問なの?」
「専門家ってホント頭が固いよね」
「メンドクサイ人だな〜」
なんて思われるのも無理はありません。私も思います笑。
もし、専門家から「これだから素人は困る」みたいなことを本当に口に出すようであれば、その専門家とは距離を置いたほうがいいかもしれない、と考えてほしいと思います。
なぜなら、一般の方が分かるように、仮に口下手であっても、なんとかわかってもらえるように努めようとしない方とは、その後もコミュニケーションを取ることが難しいため、例えば、あなたの意図を理解しようとせず、その結果、専門家の独りよがりの「こうあるべき」論を押し付けられがちです。お金を払うのはあなたなのに、専門家の独りよがりを押し付けられるのはたまったものではありません。肩書等に丸め込まれないように気を付けてほしいものです。
一般的に、商取引では、お金を払う側が偉い(偉ぶる必要はありませんが)のです。
ただ、逆にお客様側の作法(?)もあります。
それは「意図(目的)をコロコロ変えないこと」です。
専門家や専門業者に依頼することで、あなたが手に入れたいこと・避けたいことは何か、その定義や価値観、できれば予算と納期とそれらの理由も合わせて…を、業界用語など気にせずあなた自身の言葉で大丈夫ですので伝えられると、彼らは最適な提案をしてくれることでしょう。
もちろん最初から意図(目的)がはっきりしていないことが多いでしょう。そうであれば、まずはそういう状態だということを専門家に伝えましょう。具体的には「まだ検討し始めたばかりなのですが…」とでも言えばOKです。
築年数別の家賃の下落率は?
地域ごとに差があると思われますが、私が調査した範囲では、次の通りです。なお、▲はマイナスの意味です。
- 新築から築5年:▲2%/年
- 築6年〜築10年:▲1%/年
- 築11年〜:▲0.5%/年
具体的な調査日は、2021年1月下旬で、レインズに登録中の入居者募集物件の中の板橋区内(一部埼玉県)のワンルームまたは1Kが対象です。情報が不足している物件は除外し、324件です。
築年数別年、20㎡相当の平均賃料であって、駅距離や階数、構造、駅までの距離は考慮していません。リフォーム程度も考慮していません。
新築のときは家賃が高く、5年~10年経つと急激に下がる傾向がみられます。その後はしばらく変動なしの状態でした。
考えてみれば、新築と築1年は大きな差を感じます。しかし、築年数を経過するごとに、それほど大きな差を感じなくなります。例えば、築5年と築6年は、まだ差を感じますが、築10年と築11年は「まあ、同じようなものか…」という気になります。ましてや、築30年と築31年なんて同じです。
このように同じ「1年」の差でも感じ方が異なります。人間の年齢の感じ方に似ています。0才児と1才児は大きな違いがありますが、30才と31才は誤差ですよね笑。
ただ、建築基準法の改正(耐震性)のタイミングで大きく変わります。具体的には、確認通知書の日付が1981年6月1日より前か以降か、となります(後述)。
なお、地方は別の傾向があるかと、千葉県の市原市でも同様の時期に同様の規模の調査をしましたが、およそ同じ傾向がみられました。
新築・築浅・築古の定義は?
新築は、建物完成後、1年未満で、1度も入居されたことがない物件のことです。不動産業界の広告規制(公正競争規約)で定義されています。
築浅の定義はありません。一般的には、築10年が1つの目安かと思われます。
そうしますと、築古は10年を超えた物件とイメージされるように思われます。個人的には、20年を超えた物件かな〜と思います。こちらも定義はありません。
なお、建物の建築年月は、新築・中古のいずれも表示が義務付けられています。もし、広告に表示がない場合は「ルールを守ることに無頓着な不動産会社さんなのかな〜」と、考えてしまいます。
耐震性の3区分とは?
耐震性(地震に耐えられる強度)は、建築基準法上は、確認通知書の日付で3種類の区分あります。
- 1981年5月31日以前(いわゆる旧耐震)
- 1981年6月1日〜2000年5月31日(いわゆる新耐震…震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しない)
- 2000年6月1日以降(いわゆる2000年基準…主に木造住宅の基準強化)
1番目は耐震性に問題があると言われています。1995年1月17日の阪神・淡路大震災で大きな被害が出ました。2番目の建物はそうした被害は少なかったと言われています。
しかし、2番目の時期の建物は、確認申請時(工事着工前の設計段階)では耐震性を確保した設計になっていても、そのとおりに施工されたかどうかの完了検査を受けていないケースが珍しくありません。良くあるのが、1階が車庫だったのに住居や事務所にしたり、小屋裏に部屋を作ったり、ビルの屋上に小屋を作ったり、酷いものだと2階建てを3階建てにしたり…なんてことがあります。そうしますと、当初の耐震性が確保できませんので危険な建物となります。
3番目の建物は、ほぼ完了検査を受けているものと思われます。
確認通知書や検査済証は紛失されることが割とあります。確認方法としては、市役所等の建築課のような窓口(役所によって名称が多少異なります)で「確認台帳記載事項証明」を申請すると各日付などが判明します。記録がなければ「ない」という証明書が発行されます。手数料は300円前後です。
もちろん、1番目の建物であっても恐ろしく頑丈に作られている建物はあります。例えば、日本銀行本店本館は1896 年(明治29年)竣工です。しかし、関東大震災や東京大空襲に耐えている堅固な建物です。ここまで歴史的な建造物と一般的な建物を比較するものではありませんが、築年数1つだけで耐震性の全ては語れない…とだけ、理解してもらえば…と思います。
なお、基準を満たしていれば地震でも建物が倒壊しない…と思いがちですが、実際は「倒壊して即座に人命を失うことなく避難・救助できる時間を稼ぐ」という考えに基づいているものとなります。もちろん、基準を大きく超えた強度を持つ設計にすることは可能です。ただ、それだけ建築費が跳ね上がります。例えば、テストの点数を50点から80点にするのは、少し本気をだせば取れると思いますが(?)、90点を100点にするのって相当な努力(才能と運も)が必要だという感覚に似ています。完璧な耐震性を得るには100点を取るのと同じように過大な費用が求められます。
オススメの築年数(狙い目の築年数)・オススメできない築年数は?
原則として、耐震性の面で新耐震基準(木造なら2000年基準)以降にしたいものです。
あなただけではなく、同居する家族の命に関わります。命…という話で言いますと、事務所・店舗・賃貸物件でも同じことですね。場合によっては、従業員・お客様・入居者やその遺族から訴えられるリスクがつきまといます。
また、行政側も旧耐震基準の建物は、大地震の被害を小さくするために、建築物の種類や規模・幹線道路沿いなど救助・避難・救援物資の輸送に影響のある場所によって、耐震診断を強制しています(大抵は診断費用や改修工事に補助金や助成金を支給する制度があります)。
更に言うなら、旧耐震の建物は各種、補助金・助成金の対象外とされることがほとんどです。違法建築ではないものの、行政側は同等の扱いをしているのです。ただし、自宅については救済措置が用意されることがほとんどです(賃貸物件は行政により扱いが分かれる)。
また、自宅の場合、住宅ローンの制約を受けるかどうかも確認すべき事項です。例えば、フラット35の耐震性の技術基準では「1983年4月1日」以降となっています。恐らく、建築確認通知書で日付を確認するのが困難なためと思われます。
旧耐震の問題は「恐らく耐震上危険である」だけです。「恐らく」なのです。つまり、耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修工事をすれば「耐震性は問題ない」となります。つまり、例えば、下記のような計算が成り立つケースなら旧耐震を狙うのは「あり」です。
- 1982年築(新耐震)木造戸建500万円
- 1980年築(旧耐震)木造戸建300万円 耐震診断10万円 耐震改修工事90万円 合計400万円
ただし、賃貸物件の場合、借りる人や賃貸仲介会社に「改修工事をしたから耐震性に問題はない」ことをどのようにアナウンスして、更に理解してもらえるかどうか? といったハードルをクリアする必要があります。