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不動産実務検定は国家資格にならないのか?
稀に聞かれますが、恐らくなりません。
そもそも国家資格は何か? と考えると予想が付きます。
確かに、設立当初に、代表の浦田健さんと一緒に私の母校の明海大学不動産学部の学長に会いに行ったり、浦田さんが国会議員や国土交通省に働きかけたりしていたと思います。
しかし、あまり相手にされませんでした。
当時、その理由を利権がどうとかなのかなと思いました。実際、それもあると思いますが(笑)国家資格とは何かと改めて考えると、別の側面もあるのかなと思います。
なぜ国家は資格制度を作るのか?
例えば、一級建築士は国家資格です。なぜ、国は資格制度を作るのでしょうか?
いろいろな理由があるのだろうとは思いますが、例えば建築士法の目的は「建築物の質の向上に寄与させること」とあります。
さらに、なぜ国は建築物の質の向上をしたいのか? と考えますと、憲法で国民の生命を守ることになっていることに根拠がありそうです。
同じ理由で建築基準法も建物の基準を定めることは手段であって目的は「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資すること」となっています。
やはり、この「国民の生命や財産の保護」などは憲法を根拠に国家の役割となります。
そのためのルールの1つに建築基準法があり、この法律を実行する民間の現場責任者として建築士がいて、さらに国家資格とすることで地位を与え、その替わりに責任を負うことにしていそうです。
こうした背景から不動産実務検定の役割を考えると、不動産業界に入り込む余地はないように思えます。
なぜあら、既に宅建業法と宅建士があり、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律と賃貸不動産経営管理士があるからです。
このように、国家を運営する側として、国民一人一人の知識を向上させるより、その業界の知識を向上させる方が効率がいいと考えてもいそうです。
ただ、その一方で、もともと民間資格だったファイナンシャルプランナーが国家資格化した事例もあります(そうは言っても日本ファイナンシャル・プランナーズ協会の設立が1987年ですから約30年後ですけれど)。金融業界にも既にいろいろな国家資格があるにも関わらず、です。
ただ、こちらは国民の貯金を投資に回したいという国策?が背景にありそうです。
似たような文脈では飲食業も資格や免許制度があります。具体的には、食品衛生責任者の設置と飲食店営業許可です。一方で、家庭料理について資格や免許制度はありません。
私は、大家さんも同じような位置付けなのではないかと想像します。事業ではないと考えられて、来たと。今、いろいろな要因から変化(主に規模の拡大)してきていて、見直さないといけないかな〜という流れでしょうか。
まとめますと、私は、こうした背景から不動産実務検定が国家資格になることは、まあ〜ちょっとないかな〜と思うのです。
以上、私の想像でありあくまで私見です。J-RECの公式見解ではありません。
就職や転職やキャリアアップだとか資格手当だとかが目的な方は、とにかく宅建士ですね。