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「不動産投資に興味があるけど、何から始めればいいんだろう?」 「低資金で始められる築古戸建投資がいいって聞いたけど、本当に大丈夫かな?」と、そんなふうに悩んでいるあなたへ。築古戸建投資は万人にオススメできる投資スタイルではありません。
築古戸建投資は余裕時間のない人には不向き
確かに、築古戸建は価格が安く、少ない自己資金で始められるので、不動産投資の入門編として魅力的に見えるかもしれません。しかし、平均以上の所得や余裕資金があるが余裕時間がない人は、最初の物件として築古戸建を選ぶのは、実はおすすめできません。
築古戸建投資を成功させるには余裕時間が必要
余裕資金という言葉は聞いたことがあると思います。例えば、貯蓄額から将来、使う時期と金額が決まっている資金、たとえば教育資金やマイホームの頭金、年齢によっては老後資金、そして万が一のときの生活防衛資金を引いた資金のことです。つまり、使う予定の決まっていないお金のことです。
余裕資金はなんとなく知っていても「余裕時間」は聞き慣れないことでしょう。日本語としての意味はわかると思います。その通りの意味で結構です。さて、ここでの前提は、余裕資金があっても余裕時間のない人は築古戸建投資はおすすめできない、という話です。理由は次の3つです。
1. 物件が遠いので移動時間が掛かる
築古戸建投資の最大のメリットは高利回り。しかし、それだけ都市部から離れるため購入前の現地調査はもちろん、購入後もリフォームの計画・見積もり・工事中のチェック、工事完了後のチェックに、その都度、現地にいかねかればなりません。
更に、もし、DIYが前提なら、もっと移動回数も作業時間も倍増どころでは済まないレベルで増えます。
あなたに、そんな時間はあるのでしょうか?
2. 物件の目利きやリフォームの見積もりの勉強が必要
築古戸建は築古というより法定耐用年数を超えた物件。老朽化が進んでいて廃屋寸前のようなものもあります。見た目の改善をするだけではなく、構造的な問題を改善する必要があります。万が一、構造的な問題をそのままに賃貸した結果、入居者の生命に危険が及ぶと所有者責任を問われかねません。
そうした構造上の問題を見極めたり、それを改善するリフォーム工事にいくらくらい掛かるのか逆算して、結局いくらで買うべきなのか? これを数日で試算できるようになるための勉強や練習が必要です。
あなたに、そんな時間はあるのでしょうか?
3. 時間をお金で買うと高利回りのメリットが活かせない
時間をお金で買うことはできます。実際、あなたには、そのお金があります。例えば、リフォーム会社に手間代を払って現地調査や見積もりを出してもらったり、建築士などに建物調査をしてもらったり。築古戸建投資のサポートをしてくれるコンサルタントや、築古戸建専門の投資用不動産会社を頼ったり。
確かに、最初の1棟目なら知識も経験も乏しいので、例え収益性が悪くなっても支援してもらう意味はあるでしょう。しかし、経験も増えないものです。結局、次の物件取得もサポートを依頼してお金を払い続けることになれば、ただ単に、利回りが良いとは言えない老朽化した戸建が増えていくだけです。
それでも長期入居してくれれば良いのですが短期間で退去され、内装状態が悪いと、またリフォーム代が必要になります。嫌気が差して解体して更地にしようにも、解体費だけで100万円以上掛かるとなれば、結局、赤字になることでしょう。
まとめ. 築古戸建投資は投資ではなく事業つまり労働時間が必要
このように、築古戸建投資は、お金でお金を増やす投資(不労所得)というより、あなたの労働時間を使ってお金を増やす労働所得の面が強いものなのです。もちろん、それでも一度、入居者が決まり長く住み続けてくれれば、労働時間は激減します。問題は、その段階にたどり着けるのか? ということです。
もし、あなたが同年代の平均以上の所得や余裕資金があって、余裕時間がないのなら築古戸建投資を選ぶべきではない、となります。家族との時間や、一人になれる時間が欲しかったはずなのに。そうした時間を更に犠牲にするリスクがあります。独身時代なら、そのリスクを取ることもできたでしょうが、今はもう遅いのです。これ以上、家族との時間を減らすと離婚の危機に。睡眠時間を減らすと健康を害します。そういう年齢になってしまいました。
とりわけ、平均以上の所得や余裕資金があるが余裕時間がなく、しかも勤務先の大企業でマネジメントの知識と経験と実績があるなら、最初からアパートローンを借りて資産性の高い物件で、あなたの余裕時間を奪わない物件を選ぶべきです。もし、マネジメント力に自信がないなら好立地の築浅区分マンションをオススメします。
不動産投資は、あなたの将来を豊かにするための素晴らしい手段です。しかし、最初の物件選びを間違えると、逆に、時間やお金を失ってしまう可能性もあります。焦らずに、あなたの状況や目標に合った物件を選びましょう。
この記事が、あなたの不動産投資の第一歩を踏み出すためのお役に立てれば幸いです。