擁壁物件

不動産投資ルーキー

擁壁物件への投資はNGなのか考えるべき3つのポイント

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宅建士/AFP/PMP®など。不動産オーナー向け教育事業、東京大家塾(2006年〜)や不動産実務検定®認定団体J-REC理事・東京第1支部長・認定講師(2008年〜)として累計3万件以上の不動産投資・活用・トラブル相談の経験から失敗しない不動産活用を体系化。Google★4.8/226件〜・Udemy講師★4.18/1,107名〜・ココナラ個別相談★5.0/136件〜。著書/共著19冊・講演実績全国25団体〜・寄稿/取材協力多数。

もしかしたら「擁壁物件は危険で、買ってはいけない」「崖地は地盤が不安定で、将来は必ず問題になる」このように、不動産投資初心者の方の中には、擁壁物件や崖地に対して不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

マイホームと投資用不動産の購入基準を混同してはいけない

確かに、擁壁物件は、土砂崩れや地盤沈下などのリスクがあり、買ってはいけない物件ランキング上位に入ることもあります。しかし、擁壁物件は、必ずしも避けるべき物件ではありません。

擁壁物件は、マイホーム選びとは異なる視点で考える必要があるのです。マイホームは、家族が安心して暮らせる場所を選ぶことが最優先です。しかし、投資物件は、リスクを適切に評価した上で、収益性などの投資基準を超えればよいのです。

擁壁物件は、リスクがある一方で、割安で取得できる可能性が高いというメリットがあります。なぜなら、多くの人が擁壁物件を敬遠するため、市場に出回る物件数が少なく、競合も少ないからです。

ここでは擁壁物件の投資を考えるべき3つのポイントを紹介します。

1. マイホーム選びと投資物件選びは異なる

マイホーム選びでは、家族の安全・安心を第一に考えます。そのため、擁壁や崖地は避けられることが多いです。しかし、投資物件選びでは、収益性も重要な要素です。

2. 擁壁物件は9パターンある

擁壁物件は、一括りに「危険な物件」と捉えるのではなく、様々なパターンがあります。例えば、私の研究では、擁壁物件は道路との関係、擁壁の上か下かで9パターンに分類しています。

ここでは、すべてを説明することは難しいので割愛しますが、それとは別に見るべきポイントもあります。こちらは比較的カンタンなんで紹介します。

1.築年数が古く老朽化している擁壁:

擁壁も構造物として本来は、設計上の審査結果としての建築確認番号があり、工事完了検査結果としての検査済証番号があります。古い擁壁は、こうした手順を踏んでいないものが大半です。この場合の擁壁は、ただ単に現状の土を押さえているだけ=土留の役割を果たしているに過ぎません。つまり、再建築するときに、今より重い建物にするには擁壁の作り直す必要性が高いと言えます。また、想定以上の豪雨によって地盤に水が溜まり重くなると擁壁が崩壊するリスクが高まります。

2.擁壁の規模が小さく強度が低い:

例えば、高さ2m以下なら、あまり気にする必要はありません。それ以上の場合、強度計算されて設計・施工された擁壁でないと、強度が十分にあることの確認ができませんので、土砂崩れや地盤沈下のリスクが高いと言えます。

3.擁壁のメンテナンスが行き届いていない:

劣化が進んでおり、危険な状態です。例えば、水抜き穴が塞がっていたり、ひび割れが大きいような状態です。

4.擁壁が傾いている:

すぐにでも補修が必要な状態です。その場にいること自体が危険と言えます。

5.擁壁上にさらに擁壁がある:

下段の擁壁が上段の擁壁の重さなどを考慮して設計されたものと確認が取れない場合はリスクが大きいと言えます。

6.擁壁の近くに川や海がある:

地盤が不安定な場合があります。こうした地盤を前提とした設計・施工されたものと確認が取れない場合はリスクが大きいと言えます。

7.擁壁が道路と接している:

交通量の多い道路は、振動によって擁壁が損傷する可能性があります。

8.擁壁の上に建物が建っている:

建物の重みによって擁壁に負担がかかります。

9.擁壁が新しく、しっかりとした構造である:

リスクは低いと言えます。具体的には鉄筋コンクリート造で垂直に作られたものは、恐らく建築確認も検査済証も役所で確認することができるでしょう。

3. 本当にダメなものは2パターンのみ

上記の9パターンは状態の話ですが、道路との関係と擁壁の上か下かの組み合わせで、やめたほうが良いパターンは2つあります。逆に、実は擁壁の強度は問題のないパターンが2つあります。ほかはケースバイケースとなります。

多くの人があなたと同じように狙わないからこそ割安で取得できる可能性が高いのです。一括りにしないでパターン分けして検討できるようになると良いでしょう。

まとめ. 擁壁物件は、必ずしも避けるべき物件ではありません。

リスクとリターンを冷静に判断し、適切な物件を選び、適切な対策を講じれば、擁壁物件は収益性の高い投資物件になる可能性があります。不動産投資は、知識と経験が不可欠です。専門家の意見を参考に、慎重に判断してください。

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