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管理会社の方から空室対策の提案をしてきたことはありますか? ありませんよね。基本的に、管理会社は受け身です。「管理」会社ですから仕方ありません。(?) 今回は、管理会社まかせでは満室にならないことをお話します。理由は5つあります。対処法も紹介します。順を追って説明します。
決め物件ランキング問題
まず、あなたの物件が管理会社の社内で、ポータルサイトから反響の取れる物件だったり、お客様を案内さえすれば成約につながる物件だったり…いわゆる「決め物件」と認識されていないことです。決してダメ物件という意味ではありません。内見したお客様が「この部屋がいい!!」と反応が取れない物件…要するに可もなく不可もなくフツウの物件なのです。
そして他にもっと「駅から近い」「部屋が広い」「設備が新しい」にも関わらず「家賃が安い」、そんな物件(決め物件)があるのです。特に、地主系の大家さんで、ハウスメーカーで建築した物件にその傾向があります。もともと土地があるので、その分、建物にお金を掛けているケースが多いからです。
つまりは、競合物件に負けているのです。これでは満室になりません。ちなみに、一般的な管理会社は、わざわざ競合物件と比較検討して大家さんに積極的な改善提案をすることはありません。
決め物件にするための部屋作りはオーナーの役目だと自覚しましょう!!
囲い込み問題
2つ目の問題は、決め物件でもないのに、ほかの仲介会社に向けて情報提供せずに、社内だけで空室情報をため込んでいることです。入居募集に強い管理会社なら絶対にダメとは言いませんが、基本はいろいろな仲介会社に情報提供してもらって募集の幅を広げることです。
もし、そのために、広告宣伝費が必要だというなら、その費用は許容すべきです。1社だけで募集するのではなく、地元の駅周辺の仲介会社はもちろん、両隣の駅だったり上り方面のターミナル駅だったりで営業している仲介会社に、物件情報を提供してもらいましょう。
管理会社だけで入居募集するのでなく、多くの仲介会社が募集できるように働きかけましょう!!
人手不足の問題
とはいえ、管理会社は人手不足です。確かに、管理担当者の1つ1つの業務は単純です。しかし、入居者さん・大家さん・上司(社長)の三つ巴の調整をする必要のある業務が多く、この調整に時間もかかりストレスもかかるのです。
ましてや、小さな会社だと、こうした折衝業務の他に、入居促進業務や契約業務や経理業務も兼任だったりするのです。目の回る忙しさでしょう。その上、給料は高くないのです。
もしかしたら、あなたが依頼した業務について「こんなカンタンなことを、なぜ、すぐにやらないんだ?」と怒りたくなることがあるかもしれません。ですが、上記のような状態なのです。
そこで、あなた自身がカンタンだというのなら、あなた(自分)自身でやればいい…という発想に切り替えてみてはいかがでしょうか。どうしても管理会社(業者)でないとできない業務だけ依頼する、そして大家でも出来る業務は大家でやる。そんな役割分担が出来るといいかな、と思います。
優先順位の問題
大家さん仲間の中には、もしかしたら管理会社まかせでうまくいっている方もいると思います。そういう方に確認して欲しいのは
- 管理を委託している戸数(規模)
- 物件の築年数
- 家賃設定(相場より高いか安いか)
- 駅距離(立地の良し悪し)
- 原状回復リフォームのやり方
の5つです。
もし
- 管理委託戸数が多い
- 築年数がまだ新しい
- 相場より安めの家賃設定
- 駅から近い
- 原状回復は管理会社のいう通り
なのなら
そりゃー満室になりますね。
内見者を連れて行けば成約して
仲介手数料や広告宣伝費も入るし
管理戸数も多いから管理報酬も
毎月のようにそこそこ入るし
原状回復リフォームでも
紹介料が入るし…
要するに
管理会社にとって儲かる大家さん
って位置付けなのです。
一方で逆の大家さん。
- 管理委託戸数が少ない
- 築年数が古い
- 相場家賃より高い家賃設定
- 駅から遠い
- 原状回復工事は自分で見つけた業者に発注
となると
管理会社からは
儲からなくてしかも面倒な大家さん
って位置付けになりかねません。
ましてや
電話やメールが頻繁に来るとなると
なおメンドウな大家さん…と
思われているかも。
少なくとも管理会社とは
- 募集条件のすり合わせ
- 決め物件になる部屋づくり
について相談しながら進めて行くことですね。
組織図と人員配置の問題
ところが、相談相手となる管理会社の管理担当者には優秀な人材がいない、という根本的な問題があります。なぜなら、会社全体でみたときの売上比率が低い部門なので優秀な人材は配置されにくいのです。もちろん業務の向き不向きがあるので一概にいえません。ですが、優秀な人材は儲かる部門に配置されるでしょう。
儲かる部門とは何でしょうか。
それは、買取転売部門です。粗利は物件価格の10%から20%で数百万円から数千万円の粗利です。次に儲かるのが売買仲介部門です。粗利は物件価格の3%から6%で数百万円の粗利です。次に儲かるのが賃貸仲介部門です。粗利は家賃の2ヶ月分くらいで数十万円。
最後が賃貸管理部門で粗利は家賃の5%で数千円です。確かに、賃貸管理業は管理費が毎月安定して入ってくるので塵も積もれば山となる…のですが、数千万円の大きな風が吹くと全て吹き飛ぶようなものです。
こうした大きな視点を持てると、例えば物件を買った業者にそのまま入居募集や管理を任せてもうまく行かないことが多い…そんな傾向がある読めますよね。
とはいえ、中にはうまく行っているケースはあると思います。
そのケースの場合は例えば「このお客さん(あなた)はまだ物件を買えるだけの与信枠があるから頑張って満室にしろ!」と社長が檄を飛ばしているものと思われます。
そうして融資の与信枠を使い切ると「このお客さんは(あなた)はもう物件を買う与信枠はないから入居募集や管理はほっといてこっち(与信枠のある)の大家さんの物件を満室にしろ!」と社長が檄を飛ばすことでしょう。すると、途端に空室が目立ちはじめることでしょう。
業者は利益追及するのが目的ですから、こうした方針になるのは致し方ありません。
まとめ
入居募集や管理に不満があるとすぐ管理会社を変更する…そんな管理会社ジプシーのような大家さんが稀にいます。問題の根本にあるのは個々の管理会社にあるのではなく管理業の構造的な問題なのです。
- 決め物件となる商品づくりはオーナーの務め
- 宅建業の免許がないとできない業務だけ管理会社にやってもらう( ポータルサイトの掲載・契約業務・家賃滞納保証会社手続き・ 家財保険手続きなど)
- 夜間休日の緊急対応の体制のあるかどうか
このあたりの判断基準で管理会社を選べれば良いのではないでしょうか。
空室率がウン十%の時代やエリアであっても、満室にできるかどうかは、管理会社次第ではなくあなた(大家さん)次第なのです。