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もし、今の仕事が嫌で嫌で逃げ出したくて不動産投資でFIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指そうとしているのなら、ちょっと待ってほしいものです。
確かに、前回に紹介した書籍だったりYouTubeやブログなどを見ると、不動産投資でFIREしている人は昔からいます。いわゆる高属性の方がほとんどですが、中には年収300万円もないような方でもFIREしている方はいますから「私もチャレンジしたい」と思うのは無理もありません。
私は、そのチャレンジを止めるつもりは全くありません。逃げることが目的なのも非難するつもりもありません1。
そうではなく「ちょっと待ってほしい」というのは「今の状況から逃げる」ことと「不動産投資でFIRE」は分けて考えるほうがいい、ということなのです。
なぜなら、FIREするまで時間が掛かるので、その間もずっと嫌で嫌で仕方のない状況に居続けることに身体と精神が耐えられるのか疑問だからです。もう1つ、現実的な話をするならFIREのための「お金」と「時間」がそもそもありませんよね。
このあたりの状況を整理すると、次のようになります。
- お金もある・時間もある
- お金はある・時間はない
- お金はない・時間はある
- お金もない・時間もない
FIREすると1番のステージになります。これはいいですよね。
次に、2番のステージの方は、いわゆる高属性の方です。もし、生活水準が低い方なら、2〜3億円くらいの物件を買うことで、翌月から毎月使えるお金が30万円くらい入りますから、すぐにFIREできます2。
いわゆる低属性の方でFIREしている人の多くは、3番のステージだと考えられます。お金(年収や自己資金)がない替わりに、時間があります。
ですから、2番のステージの方とは違う戦略が取れます。
わかりやすい例はDIYです。
- リフォームコストが通常の1/3みたいになる
- 古い戸建のようなファミリー物件を安くリフォームできるので競合物件に勝てる物件にできる
- ファミリー物件を相場家賃より少し安く賃貸することで長期入居が期待できる
- 長期入居&多少の設備の不具合も自分で直せるとなれば自主管理にして管理コストを下げられる
- いろいろなコミュニティーに顔を出すことで学習コストも下げられて古い物件を引き取ってくれないか?なんて話も来るかも…!?
と、恐ろしいほどのメリットが手に入ります。
これを続けていくと、お金が増えていきますので、上のステージに上がれます。
ただ、いろいろやることは増えていますので、2番の「お金はあるが時間がない」状態です。いきなり1番の「お金も時間もある」にはなれないのです。
それでも、お金があるわけですから、先の高属性の方のように大型物件を取得するのも良いですし、いままで自分でやってきたことを外注化して時間を作るのもいいわけです。
問題は4番の「お金もない・時間もない」のステージの方です。
これまでの例のように、ステージを2段階も上がることは「まず無理」なのです。ですので、いきなり「お金もある・時間もある」のステージに上ることはできないのです。
そうしますと、1つ上のステージ「お金はない・時間はある」を目指すことになります。
具体的には、社内で異動を申し出たり転職1だったりを考えることが先だと言えます。
もちろん、異動も転職もすぐに実現しません。最低でも半年です。
この間も、ぜひ、今の仕事は一生懸命に取り組んでほしいと思います。
今の仕事がくだらないと思っていたり誰からも評価されなかったりするかもしれません。成長を感じることもできないかもしれません。
ですが、別の世界(社内の異動先・転職した会社・不動産業界など)では、逆に特別な評価をされることがあるのです。
例えば、2022年冬アニメで「その着せ替え人形は恋をする」という作品があります3。
主人公は、雛人形職人を目指している内気な男子高生で、クラスの人気者の女子高生なんだれどオタクでコスプレが好きな女子に、雛人形づくりで培った経験でコスプレ衣装を作ってあげて…というストーリーです。
主人公は、高校生と言えども、幼少から雛人形づくりの練習を何年も毎日のように続けていて(だから友達はいない)、それでも伸び悩んでいたんですね。
しかし、ヒロインと出会うことで人間が着る衣装をつくることになります。もちろん人形とは違うので苦労もありますが、着てくれた人が喜んでくれたり、まわりの人から評価されたりすることになります。
その間、本業(?)の雛人形づくりの練習はできていなかったのですが、返って上達していた…というエピソードがあります。
もちろん、直接的に評価されることは少なく、間接的に評価される…例えば取り組む姿勢や意欲など…は、どんな業界や会社もありますよね。
今の仕事が嫌で嫌で逃げ出したいのなら「FIREできたらいいのにな〜」ではなく、本気で戦略的に取り組んでほしいですね。
参考)本気で逃げる主人公のマンガはこちら(笑)