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人口減少にもかかわらず、相続税対策からなのか新築されつづけるアパートや賃貸マンション。年々、満室経営を実現するハードルは高くなるばかりです。こうなると最終的な空室対策はサブリース(一括借上)になるのでしょうか? しかし、その一方でサブリースで騙された話なども聞きます。いったいどういうことなのでしょうか?
サブリースは空室対策になります!ですが…
おっしゃる通り、サブリースは空室対策になります! なぜなら、サブリースすることで、一棟の建物の全室をサブリース会社(不動産会社)が一括して借り上げて、入居者がいようがいなかろうが、全室分の家賃を支払ってくれるからです。ですので、仮に、全室が空室だったとしても、当初の契約どおり一括して借り上げた分の家賃を、大家さんは受け取ることができるのです!
ですが、それではいったい、サブリース会社はどこで利益を出すのでしょうか・・・?
一般的な商取引では、取引相手はどこで利益を出すのか? について理解を深めることで、騙されること…は大げさかもしれませんが「そんなはずではなかった!」「こんなことになるなんて!」といった事態を避けることができるものです。大家さんも、土地活用やアパート・マンション経営を、事業(ビジネス)として、しっかり取り組んでいきましょう!
サブリース会社の利益の源は次の5つ!
その1)基本は保証料(家賃の差益)
サブリース会社の利益は、保証料です。保証料とは、実際に借りて住んでいる入居者からの家賃と、大家さんに支払う家賃の差額のことです。サブリース会社によりますが、その保証料率は家賃の15%前後です。例えば、10万円の家賃で入居者が住んでいたら、大家さんに入ってくるお金は8.5万円となります。一般的な管理委託費が家賃の5%程度(この場合は5千円)ですから、追加で10%(1万円)支払えば空室の不安や悩みから解放されると思えば、安いようにも思えますが…
ちなみに、サブリース会社が入居者に、大家さんとの契約より高い家賃で貸していたとしても、大家さんが受け取る家賃が増えることはありません。そのため、例えば、サブリース会社が入居者さんにいくらで貸しているのか公開してくれないことは珍しくありません。特に、新築物件には、新築プレミアムといって、相場家賃より少しくらい高くても新築を借りたいというニーズがあるため、家賃査定より高く貸せることが時々あります(いまは少なくなりましたが)。この差額もサブリース会社の利益の源ですね。
そのため、大家さんと契約するときの想定家賃(家賃査定)はできる限り安い金額で契約したいと考えます。ですが、相見積もりではありませんが、複数社と比較検討されると、そうもいきません。もし、実際に、サブリースを検討するときは、必ず複数社で比較検討するようにしましょう。
その2)礼金・敷金・更新料など
サブリースの場合、入居者から見た貸主は、あくまでもサブリース会社です。そのため、入居者が支払う礼金・敷金・更新料などはすべてサブリース会社のものです(契約内容によります)。もっとも、いまとなっては、礼金のある物件を借りてくれる入居者を見つけることは難しいのですけれど。
その3)設備のメンテナンス費や清掃費など
後述しますが、エレベーターなどの設備のメンテナンス費は大家さんの負担です。こうした費用をサブリース会社は、良く言えば適切にメンテナンスされているか立ち会ってくれます。悪く言えば、何もせずに、ただ単にピンハネするだけです。
その4)原状回復や大規模修繕などのリフォーム費
こちらも後述しますが、入居者の入れ替えにともなう原状回復や建物全体の大規模修繕も大家さん負担です。同じく、良く言えば適切なリフォーム工事をしているか立ち会ってくれます。悪く言えば、リフォーム業者任せで、ただ単にピンハネするだけです。
その5)建築費の利益
サブリース会社の多くは、ハウスメーカーそのものだったり、ハウスメーカーの子会社だったりします。要するに彼らの営業トークは『サブリース(一括借上)して家賃保証しますので、空室のリスクもなく入居者とのわずらわしいやりとりをすることなくアパート経営ができますよ(楽して儲けられますよ)』に尽きます。このときの建築費の粗利は、なんと! 4割から5割だそうです! 一般的な建設会社の粗利が2割程度なので驚異的な数字です!
一部のハウスメーカーは自転車操業
なぜ、そこまで高い建築費の工事を受注できるのでしょうか? それは、サブリースするときの家賃査定を高い家賃で設定するからです。
例えば、相場家賃が10万円の地域でも『当社のアパートは性能はもちろん、デザイン性も、居住性も高く、人気があるので高く貸せます!』といって、家賃設定を12万円とします。競合他社は、家賃相場の10万円で提案してくるので、大家さんの手元に入ってくる家賃は、15%の保証料を引いた85,000円です。しかし、こちらのハウスメーカーは家賃査定を12万円にしてくるので、大家さんの手元に入ってくる家賃は、同じく15%の保証料を引いた、102,000円となります。その差は17,000円です。10戸あるアパートなら17万円も多く収入が入る、こちらのハウスメーカーにしたくなるものです。
ですが、実際に完成したアパートは、デザイン性(形と色)はともかく、性能はそれほどでもなく(むしろ近年のレオパレス問題のように建築基準法ギリギリ…いえ建築基準法違反の物件があるくらいヒドイものです)やはり地域の家賃相場を超える家賃で入居者が入るものでもなく、結局のところ相場家賃(10万円)で満室になりました。
ですが、契約上は大家さんに102,000円払うことになっています! おっと! これでは逆ザヤです! 赤字です! とはいっても、1戸あたり、わずか2,000円の赤字です。一方で建築費の利益は数千万円です。文字通り桁違いです! それも4桁も! サブリースによる多少の赤字は建築費で余裕でカバーできてしまうのです。ですが、ここが大家さんの「サブリースで騙された!」となる根源となります。