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ここ数年で、全国各地に「大家の会」「大家会」「大家塾」など、大家さんの勉強会や懇親会が増えてきました(以下「大家の会」とします)。都市部では大家の会が複数のあって、どこにしようか悩むこともあるでしょう。逆に、地域によっては選択の余地がないこともあるでしょう。一方で、遠方の大家さんのために音声や資料を提供してくれる通信講座のようなスタイルの大家の会もあります。自分にあった大家の会は、どのような基準で選べば良いのでしょうか?
目的に合った大家の会を選ぼう!!
それは、あなたの目的に合っているかどうかです。なぜなら、目的に合わない会に入っても利益はありませんし、長続きもしないからです。時間やお金を使うものですから、やはり効果的に役立つ会を選ぶことです。
では、良くある目的に合った大家の会の選び方について解説します。
満室安定経営を実現したい
仲介会社・管理会社・空室対策コンサルティング会社が主催している勉強会が良いでしょう。
具体的な募集や管理ノウハウを知ることができます。注意点は、売り込みされやすいことです。特に無料で開催されている会は、その事業者の宣伝が目的となりますので、そのつもりで参加することです。
投資用不動産を紹介してほしい
不動産投資専門会社が主催している勉強会が良いでしょう。
具体的な投資基準や物件の見極め方を知ることができます。注意点は、その事業者の扱っている種類に偏りがちになることです。例えば、新築物件を扱う会社は「中古物件なんてバカげている」と言います。区分所有のマンションを扱う会社は「一棟ものなんてリスクが高すぎる」と言います。都心の物件を取り扱う会社は「地方物件なんて管理できないからダメ」なんて言います。
こうしたポジショントーク(自分に利益のある話し方をすること)に注意が必要です。いずれにしても、その事業者が何を目的としているのかを見極めることと、逆の立場の事業者の意見にも耳を傾けることです。
大家仲間と出会いたい
大家さんが主催している大家の会が良いでしょう。
参加メンバーの事例の紹介や懇親を目的に開催されています。普段の交友関係では聞くことができない賃貸経営の苦労話や失敗話は、とても興味深いものです。また、家族や身近な友人には言えないようなグチをこぼすこともできます。注意点は、プロフェッショナルの不在です。10年前の成功事例や失敗事例は、今、役に立つことはないかもしれません。古い知識や不十分な知識でのアドバイスは逆に危険なこともありえます。
とはいうものの、事業者や専門家とは違った視点での話や実体験に裏づけされた話は価値のあるものです。
大家の会の分類方法
以上のように、大家の会は大きく分けるとすると、主催者が事業者か大家さんか、また有料か無料かといったところです。どの会も、主催者側の意図や目的があるものです。その意図や目的と、自分の目的が合うのかどうかで判断するのが良いでしょう。
なお、どんな大家の会でも、そのほとんどが終了後、有志による懇親会(飲み会)がありますので、積極的に参加することをおすすめいたします。このとき、大家さんとしての名刺(できれば写真か似顔絵入り)があると、連絡先の交換がスムーズにできますので用意しておきます。また、Facebookでゆるくつながっておくこともオススメです。
近くに大家の会がない場合はどうするか
続いて、ご自宅や職場の近くに大家の会がない場合に、遠方の大家の会に入会するかどうか、その考え方をご紹介します。せっかく入会するのなら、積極的に参加したいものですよね。とはいうものの、どうしても大家の会が近くにない、あっても定期的なイベントの開催日は仕事の都合上どうしても参加できそうにない、ということはあるものです。こんなときは、どのようにしたら良いのでしょうか?
収録映像や音声の提供の有無で判断する
それは、興味のある会が、遠方や欠席者の対応として、ライブ中継や、映像・音声・資料の提供をしているのかどうかを確認することです。なぜなら、情報収集が目的なら、実際に会場に足を運ばなくとも目的は達成できるからです。
ライブ中継している大家の会は、ほとんどありませんが、zoomなどのライブ配信システムが広まっていますので、今後、大家の会がライブ配信をするところは増えていくように思われます。
映像の提供は、ビデオカメラ等による収録そのものと、その編集、そしてDVD制作や動画配信などにコストが掛かるため、提供しているところはあまりありません。しかし、資料(PDFファイル)と音声データ(MP3ファイルなど)なら、安価に提供できるため、多くの会で収録データの提供がされているようです。
また、会によっては定例会とは別に、特別なセミナーや教材をDVDやオンライン動画として販売することもあります。中には高額なものもありますので、大家仲間の評判なども参考にしたいものですね。
オンライン相談ができるかどうか
情報収集はデータ提供の有無でいいのですが、その情報の活用方法だったり、自分の個人的な問題の相談ができるかどうかも、選択の基準の一つになります。このとき、対面相談だけで、例えば毎回遠方に行くようでは交通費も時間も掛かるばかりです。そこで、今は、zoomというオンラインミーティングのアプリが便利です。パソコンの画面を共有できるので、同じ資料を見ながら話せるので、対面に近い相談ができます。こうした相談方法が取れるのかどうか確認しましょう。
大家の会の効果的な参加方法
ここでは、大家の会の効果的な参加方法をご紹介します。せっかくなら、早く成果を上げたいものですよね。欲しい成果は、大家さんによって異なります。満室経営を実現したいのか、投資用不動産を紹介してほしいのか、仲間との出会いなのか…いずれにしても、どのように大家の会に参加したら効果的なのでしょうか?
大家の会には毎回欠かさず参加する
それは、毎回参加することです。そして、懇親会にも参加することです。なぜなら、自分の求めている答えを得たいなら、自分の求めていることを主催者や講師や仲間に知ってもらう必要があるからです。そのために必要なことは、大家の会に積極的に参加することなのです。
参加するのは、何もリアルの勉強会だけではありません。会によってはメーリングリストやSNSなどで、ネット上で交流できる仕組みを持っていることがあります。こうした仕組みは積極的に活用しましょう。自分の物件の運営日記がなじみやすいテーマです。こうした仕組みのない会でも、自分のブログのことを名刺に書いて、仲間に見てもらいましょう。ブログにもコメントを残す仕組みがあります。今ならfacebookも良いでしょう。
こうしてレベルの高い知識を持つ仲間同士は、共通言語が形成されていますので、短時間でもレベルの高い情報交換が成り立つようになります。また、主催者や仲間と結びつきが強くなると、ウェブサイトやメールマガジンなどのように不特定多数に向けて発信できない、秘匿性の高いような話が来ることもあります。
大家の会でやってはいけないこと
なお、大家の会に積極的に参加するにあたり、注意して欲しいことがあります。まずは、参加申込みをしておいて無断で欠席することはやめましょう。ドタキャンもやめましょう。ボランティアに近い形で運営しているところが多いので、運営に手間を掛ける行為はやめておくことです。
次に、質疑応答の時間に、勉強会の内容と関係のない質問を繰り返すことです。ほかの参加者にも有益な質問なら良いのですが、勉強会のテーマとも合わない個人的な質問は、終了後に個別に行うほうが良いでしょう。
最後に、懇親会で自慢話をすることはやめましょう。自慢話から学びになることはありません。
大家の会の収録映像などの活用方法
次に、セミナーや勉強会を収録した映像や音声を提供してくれる会もありますので、こうしたデータの活用方法を紹介します。興味のあるテーマなのに、会場が遠方で参加できなかったり、急用で参加できなかったりしたときには、とても助かるものです。しかし、映像や音声データを提供してもらったものの、いざ視聴するのに、思いのほか時間が取れず、ほったらかしになることが良くあります。せっかくお金を払ったのに、視聴していないDVDやデータ溜まるなのは、もったいないものです。せっかくの映像や音声を上手に活用するには、どうしたら良いのでしょうか?
スマホで音声を倍速再生で視聴する
それは、iPhoneやiPodなど携帯オーディオプレイヤーで、映像ではなく音声で視聴することです。なぜなら、場所や時間を問わずに視聴できるので、通勤電車の中、車の移動中、農作業中、本やマンガを読んでいるときにだって聞き流しができるからです。なお、例え映像データがあっても、音声だけ抽出します。そして再生するときは1.5倍~3倍速にします。1度だけじっくり聞くより、繰りかえし聞き流すほうが効果的です。
では、具体的な方法を紹介します。
倍速再生できるアプリをインストールする
まず、スマホのアプリで倍速再生できるものをインストールしましょう。私はiPhoneの Clipbox というアプリを使っています。Androidの場合は詳しい人に聞いてみてください。
注意点は、アプリによって倍速再生機能の有無や速度、性能にはバラつきがあります。倍速再生しても、音声が十分聞き取れるように再生してくれるものでないと意味がありません。
さあ、これで、主催者側から、音声データで提供してもらったデータについては、活用できることでしょう。
DVDから音声を抽出する方法
問題は映像データの場合です。映像は、DVDまたはオンライン動画として提供されます。とりわけDVDから音声データを抽出する方法が、意外と難しいのです。そこで「Craving Explorer」というソフトウェアを紹介します。
Craving Explorer
http://www.crav-ing.com/
このソフトは、DVDの映像をiPhoneやiPodなどの機器で視聴できる形式に変換してくれます。DVDなら映像を抽出してもよいのですが、先に説明したように、音声のみ抽出して倍速再生できるようにしたほうが良いです。
Youtube動画から音声を抽出する方法
次に、オンライン動画…主にYoutube動画から音声データを抽出する方法を紹介します。
YouTube to Mp3 Converter
https://ytmp3.cc/
Youtubeのリンクをコピペするだけなので簡単です。
DVDを倍速再生する方法
続いて、DVD映像を倍速再生する方法です。このときは、再生プレイヤーの性能によります。パソコンでDVDを倍速再生するときのおすすめは、PowerDVDというソフトです。有料ですが、スムーズな倍速再生ができますので、忙しい人には時間の節約を考慮すると、ソフトの代金は安いことでしょう。
PowerDVD
http://jp.cyberlink.com/products/powerdvd/overview_ja_JP.html
大家の会のセミナー収録の注意点
注意点としては、主催者側から映像や音声の提供がないからといって、無断で収録してはいけないことです。また、DVDの種類のよってはプロテクトが掛かっていて、変換や抽出ができないことがあります。このプロテクトを解除することは可能ではありますが、違法となることがあります。
大家の会のセミナー収録データ活用のまとめ
繰り返しになりますが、活用ポイントは、映像ではなく音声を倍速再生することで、何度も繰り返し聞き流すことです。しっかり聞くことはありません。「繰り返し」「聞き流す」だけで十分です。すると、頭の奥にしみ込まれていき、必要なときにその情報を引き出すことができるようになります。
この学習方法は、賃貸経営を始めたばかり、引き継いだばかりという新米大家さんに、特におすすめです。なぜなら、絶対的な知識が不足しているので、音声ファイルの聞き流しにより、短期間に多くの情報や知識が漠然と頭の中に入ります。こうした基礎を作ることで、別の機会にじっくり本を読んだり、セミナーを受講したり、専門家に質問したりするときに、吸収率がすごぶる高まるのです。
あなたも大家の会を主催してみよう!
さて、近くに大家の会がないと、なかなか勉強会などに参加できませんよね。収録した映像や音声があっても勉強はできますが、懇親会での交流やオフレコ情報にふれることはできません。そこで、あなたが自分で大家の会を立ち上げみてはいかがでしょうか。あなたが困っているのなら、ほかの人も困っているにちがいありません。つまり、あなたが大家の会を立ち上げることで救われる大家さんもいるはずです。とはいうものの、大家の会を立ち上げることは、難しいことなのではないのでしょうか?
大家の会の立ち上げも運営も実はカンタン!?
いいえ、大家の会を立ち上げることはカンタンです。なぜなら、大家の会を立ち上げるのに、誰の許可もいらないからです。気の合う仲間と定期的に集まることと、会のルールを作るだけで、十分に大家の会となります。
参考までに、大家の会の成り立ちのパターンを紹介します。
大家さんが主催するケース1)事業者のイベントからの派生
これは、不動産管理会社のオーナー向けのイベントや、賃貸住宅フェアなどのイベントなどで知り合った大家さん同士が、事業者のイベントとは別に、独自に集まろうということで立ち上げるケースです。ただ、元の事業者のイベント規模が大きいと、遠方から参加する仲間も多く、一同に集まることが難しく、なかなか継続しないようです。この点をどう配慮するのかが、会の継続のポイントになります。
大家さんが主催するケース2)地元の集まりからの派生
これは、地元の町内会や商店会などのメンバーの中から、同業ということで独自に集まろうということで、立ち上がるケースです。メンバー同士が近いので集まりやすいのですが、競合関係にもなるので、助け合う仲間とはなりにくい傾向になります。この点を、どう配慮するのかが、会の継続のポイントになります。
大家さんが主催するケース3)ブログやSNSなどネットで知り合った仲間同士
これは、ある大家さんのブログやSNSなどの書き込みに共感した人たちが「一度みんなで会おう!」となって集まるケースです。中心人物がいるのでメンバーのまとまり感は安定します。住まいがバラバラでもネット上でつながりが持てるので継続もしやすいものです。ただ、マンネリ化するのも早い傾向にあるため、この点を、どう配慮するかが、会の継続のポイントになります。
大家さんが主催するケース4)別の大家の会からの派生
これは、既存の大家の会に所属している大家さんが、その会の活動地域が遠方のため、なかなか参加できないようなときに、同じ地域の会員たちと、別の大家の会を立ち上げるケースです。このときは、元の大家の会の主催者に相談することを忘れないようにしましょう。
不動産・建設会社が主催するケース1)既存取引先向けに告知・開催する方法
不動産会社なら管理物件の大家さんに向けて。建設会社や工務店・ハウスメーカーやリフォーム会社なら、既存の施主さんに向けて。賃貸経営のトピックや自社の成功事例や失敗事例などを紹介する勉強会を定期開催することです。
注意点は、売り込みをしないことです。大家の会は、情報提供や交流の場とすることです。主催者側からの一方的な売り込みをしないことで、次回も安心して参加してくれるようになります。そうして信頼関係を育てていくことで、何か困ったときには、必ず声が掛かるようになり、仕事の受注につながっていくのです。
不動産・建設会社が主催するケース2)まったくゼロから立ち上げる方法
こちらは集客に相当苦労することになります。予算に余裕があるなら、業界のイベントに出展したり、広告を出したりして、自社主催のイベントに参加してもらうようにします。
ただし、費用対効果が合わないことがほとんどです。本業で余裕があり、更なる発展を望むのであれば、1,2年は見返りを求めずに継続することです。
もし、起業段階でまったく予算もないようなら、ネット上で情報提供に徹することです。Kindle出版、メールマガジン、ブログなどで、大家さん向けに役立つ内容をまとめて継続的に発信することです。
このときに、すぐにお金儲けにつなげようとしないことです。まずは、自分のことを応援してくれる大家さんを増やして、その大家さんたちの困っていることを解決する方法を有料サービスとして提供する、こんな考えが望ましいものです。
注意事項
注意したいのは、自分の大家の会の立ち上げや、メンバーを増やすことを目的に、別の大家の会に参加することです。これはマナー違反ですし、その会の規約に違反することがあります。
せいぜい、一人の大家さんとして参加することに徹して、会の宣伝したい気持ちは、名刺交換程度に留めることです。
まとめ
どの大家の会も、最初は数人から始まっています。ポイントは定期的に開催することです。新しい参加者が継続して参加したり、仲間を連れてきたりすることで、だんだん人数が多くなっていきます。
同じ志を持つ仲間が増えることは、とても楽しく元気になれます。みんなで知恵を出し合って、満室安定経営の実現と、入居者さんの幸せに貢献
していきましょう!
追伸
いろいろな種類や特長のある大家の会が増えることは、大家さんのレベルの向上、ひいては入居者さんの住環境の向上につながります。これは、東京大家塾の理念でもあります。新しい大家の会の立ち上げを検討している方は、ぜひ東京大家塾にご相談ください。立ち上げから運営までサポートさせていただきます。
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