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一般的な不動産購入はローンが承認されなかった場合に備え「ローン特約」を契約に盛り込むことが通常です。これは、ローンが否決された際に契約を解除でき、手付金を返還してもらえるというものです。
ただし、ここでいう住宅ローンとは、マイホームローンのこと。住宅は住宅でも自分が住むことが前提。投資用(賃貸用)の住宅の購入に充てることはできません。1
では、マイホーム購入のための住宅ローンが承認されなかった場合でも、「買主の責任」でローンが否決された場合はどうなるのでしょうか?
判決から見る「買主の責任」
ある判決では、買主の夫が 連帯保証人になることを拒否 したため、住宅ローンが実行不可となりました。
買主は「住宅ローン特約」に基づき契約解除と手付金返還を求めましたが、裁判所は 「買主の責任」 でローンが実行不可となったと判断し、請求を棄却しました。
この判決から、以下の点が重要となります。
- ローン特約排除条項: 契約書に「買主の責に帰すべき事由」でローンが実行不可となった場合は、住宅ローン特約を適用しないと記載されている場合がある。
- 買主の責任: 買主は、ローン承認を得るために必要な書類を提出したり、虚偽の申告をしないなど、誠実に対応する義務 がある。
- 連帯保証人の問題: 買主が連帯保証人の承諾を得られなかった場合でも、「買主の責任」 とみなされる可能性がある。
補足. 連帯保証人制度は廃止の方向
近年、連帯保証人制度は縮小傾向にあります。
例えば、2017年の民法改正では、保証人の保護を強化する方向で改正が行われました。 例えば、保証人が負担する責任の範囲を制限したり、保証人が債務者に対して求償権を行使しやすくしたりするなどの変更が加えられています。
また、金融機関においても、連帯保証人に頼らない融資の仕組みが導入されつつあります。 例えば、保証会社を利用する、信用保証制度を利用する、といった方法が挙げられます。
このように、連帯保証人制度は、社会全体として見直されつつあります。 将来的には、連帯保証人に頼らない契約が主流になる可能性も考えられます。
注意点
- 契約書をよく確認: 住宅ローン特約の内容、特に「ローン特約排除条項」について、しっかりと確認しましょう。
- 連帯保証人の確保: 連帯保証人が必要な場合は、事前に承諾を得ておくことが重要です。
- 不明点は専門家に相談: 契約内容に不明点があれば、不動産会社や弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
住宅ローン特約は、買主にとって重要な権利ですが、「買主の責任」でローンが実行不可となった場合は、適用されない可能性があります。
契約内容をよく理解し、不明点は専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぎましょう。