2017年の展望

2016年の振り返りと2017年の展望−不動産コンサルタントと同等の知識と仲間を持つことを目指そう

2016年賃貸住宅業界の振り返り

振り返り

振り返り

まずは、賃貸住宅業界の2016年を振り返りたい。私が注目したいのは、次の3つ。相続税増税や金利低下による新築物件の供給増大・民泊の台頭・空き家問題だ。なぜなら、いずれも、2016年以上に、2017年は問題が大きくなるからだ。特に、新築物件の供給増大は、その周辺の稼働率や家賃相場に影響がある。オーナーは、管理会社や仲介会社と情報交換をしておきたい。そして、稼働率の低下や家賃低下による影響のシミュレーションをして、その時に備えたい。場合によっては、早々に売却することで損失を限定させることも検討しよう。

社会経済の激動感を振り返る

激動の社会

激動の社会

業界だけではなく、広く社会経済も振り返りたい。注目したいのは、次の3つ。イギリスのEU脱退・トランプ氏のアメリカ大統領当選・マイナス金利政策だ。なぜ、この3つなのか。それは、数年前には常識的に考えてあり得ない出来事だからだ。この激動感は2017年も続くことは間違いない。

70年周期説の再復習

70年周期説

70年周期説

なぜ、断言できるのか。それは、70年周期説によるものだからだ。日本社会は、およそ70年ごとに価値観や社会構造が劇的に変わるという説だ。

約70年前の終戦では軍人中心の価値観や社会構造がひっくり返った。さらに約70年前(約140年前)の明治維新では、武士中心の価値観や社会構造がひっくり返った。いずれも、ある日を境に変わったわけではない。後から振り返ると、重大な出来事が数年の間に立て続けに起き、価値観や社会構造が変わっていったのがわかる。

そして現代。今、私たちは、終戦や明治維新に負けない激動の時代にいるのは間違いない。つまり「それはあり得ない」と思ったことは「あり得てしまう」そんな時代なのだ。

2017年の展望

こうした大きな流れで考えると、業界的にも今後、従来の常識的で考えると、あり得ない出来事や事件が起きると予想すべきだ。

<民泊>

まずは民泊の規制緩和だ。業界の常識では反対だろう。しかし、大きな流れで考えると、大胆な規制緩和があると考えたい。なぜなら、業界の垣根を超えた、国家戦略につながる分野だからだ。しかも、隣り合わせの大きな課題で空き家問題の解消にもつながるからだ。

<IT重説>

次に、賃貸借契約の非対面化(IT重説)の動きだ。最終的には、ホテルや民泊のように賃貸住宅も契約できるようにしようというのだ。つまりは通販賃貸。

今は、政府主導で社会実験をしているところだが、業界的には反対で非協力的だ。しかし、大きな流れで考えると、非対面化は実現すると考えておきたい。

例えば、ソニー不動産。賃貸管理業にも参入してきた。そしてヤフーと提携している。通販賃貸するのに十分な条件を満たしているのでないだろうか。

社会実験には参加していないようだが、非対面化のスタートを見据えていてもおかしくない。そして楽天も黙っていないだろう。

こうしたIT事業者の業界参入で従来の業態の業者は窮地に追いやられてしまうだろう。

<新築供給増加>

続いて新築の供給数だ。まだまだ増加する。賃貸の需給バランスを考えずに、相続税対策を目的とした新築はもちろん、低金利による不動産投資家による新築需要は旺盛だ。

一方で土地の取得費の上昇で、従来のアパートやマンションではなく、シェアハウスの供給も増加している。供給過剰エリアでは、既存の単身者向けの賃貸住宅の需要を奪われるので、稼働率の大幅な低下や家賃の下落が進むだろう。

2017年の展望を踏まえ戦略を立てる

2017年の戦略

2017年の戦略

このように激動する時代の中、オーナーとして、どのような点に気をつけるべきか?2つ提案したい。1つ目は、長期入居化。2つ目は、賃貸経営の総合力を高めることだ。

マーケティングの世界では、新規顧客は既存顧客の5倍のコストがかかると言われている(諸説あり)。確かに、新規の入居募集は経費がかかりすぎる。原状回復費・広告費、さらには空室期間中の家賃収入がゼロになる。この金額を合計してみよう。すぐに数十万円になるだろう。一方で、既存の入居者の退去を防ぐコストは少額だ。例えば、更新料をゼロにしたところで数万円だ。確かに5倍くらいの開きがあると言える。

そうはいっても、長期入居化だけ実現できても、賃貸経営は安泰ではない。やはり新規募集は必要であるし、企画・財務・税務・賃貸管理・修繕などなど、全体的な実務知識が必要だ。さらに、各分野の専門分野を担当する業者と協力し合うことで、総合力を高められる。激動する時代を乗り越えるためのチームづくりはこれまで以上に重要だ。

それぞれ解説していこう。

長期入居化の具体策

長期入居化は、新規入居募集より少額のコストで実現できる。私の経験や相談事例などから長期入居化の具体策を紹介しよう。

<経済的な提案>

  • 更新料の無料化
  • 長期入居割引
  • 更新お祝い金
  • その他お祝い金(資格手当・奨学金)

<利便性の向上>

  • 季節感の演出
  • ガーデニング
  • 日常清掃の徹底
  • 電子錠
  • 24時間ゴミ出し可
  • 早めのエアコン交換
  • 早めの給湯器交換
  • 宅配ロッカー
  • 大型郵便受け
  • 自動販売機

<安全性の向上>

  • 防犯カメラ
  • オートロック
  • テレビモニター付きインターホン
  • ドアガード
  • サムターン回し対策
  • ダブルロック
  • センサーライト

<退去理由の明確化>

  • アンケート調査

最後の退去理由のアンケート調査で気をつけたいことがある。それは、管理会社任せにしないことだ。確かに、退去立会いなどの時に、退去理由を聞いているだろう。だが、彼らは雑多な業務に追われていて、オーナーと管理会社の担当者の間で温度差が相当あると考えるべきだ。つまり、オーナーは丁寧に退去理由を聞きたいのだが、担当者は適当に聞いて終わりにする嫌いがある。

もちろん、中には丁寧にヒアリングしている担当者もいるだろう。だが、全ての担当者がそうではない。少なくとも、アンケートに対して謝礼を、入居者にも管理会社にも提供するなどインセンティブを与えることだ。このコストや手間は、アンケートによって転勤や結婚など、どうしようもない理由以外に、退去の原因がわかり対処できるようになるなら、安いものだ。

賃貸経営の総合力を高める方法

専門性より総合力

専門性より総合力

激動する時代は、賃貸経営の総合力を高めることで様々事態に対応していきたい。つまりは、総合的な実務知識の獲得。そして、ネットワーク(仲間)づくりだ。具体的にどうすべきか。それは、不動産コンサルタントと同等の実務知識を習得することだ、そして、その集団のコミュニティーに属することだ。なぜなら、一般事例ではなく自分の問題について具体的な相談ができるようになるからだ。例えば、書籍からノウハウを得るのでは遅い。ネット上の一般論や個別事例を参考にするのも遅い。今すぐ知りたいのは「自分」の事例の対処法だ。

では、どうするのか。それは、電話やメールですぐに相談できる各分野の専門家の仲間を持つことだ。実際、私も悩んだときや全く新しい問題に直面したときは、2〜3人に相談すると、解決策が見える。このときの所要時間は、1人あたり、せいぜい5分だ。このように短時間で難問を解決できるのは、お互いに共通した不動産実務検定の実務知識を持っているからだ。

あなたも、不動産コンサルタントと同等の実務知識を持ち、コミュニティーに属することで、レベルの高い仲間を持ち、すぐに電話やメールで相談できる環境が手に入る。著名な先生に何日も前から相談予約を入れる必要もなければ、前置きなしに、いきなり本題から相談できるのだ。

<自分自身をコンサルティングする>

自分自身をコンサルティング

自分自身をコンサルティング

誤解しないで欲しいのは、オーナーに不動産コンサルタント業を始めろというのではない。他人の不動産をコンサルティングするのではなく、自分の不動産をコンサルティングするための実務知識や仲間を持て、ということだ。この提案は、今だからできることだ。なぜなら、10年前では不動産コンサルタントに必要な知識体系が、まだ未熟だった。

従来、不動産コンサルタントになるには、職人のように先輩に張り付いて知識や技術を見て失敗を繰り返しながら習得するしかなかった。しかし、今は、手前味噌で恐縮だが、不動産実務検定(認定団体:一般財団法人日本不動産コミュニティー)では、36時間のカリキュラムと、土地活用提案書の実技審査などを通して、不動産コンサルタントを養成している。他にも、公認不動産コンサルティングマスターや、CPM・Certified Property Manager(サーティファイド プロパティーマネージャー)なども参考にして欲しい(詳細は各団体のホームページを確認のこと)。

大きな流れに身を任せよう

大きな流れに身を任せる

大きな流れに身を任せる

毎年のように70年周期説を紹介している。年々、ありえない出来事のレベルが高くなってきている。2017年は、さらに想像を超える出来事が待っているだろう。こうした心構えを持つことで、大きな問題に直面しても、パニックになることは避けられる。できれば、今から、不動産コンサルタントと同等の知識と仲間を持つことを目指して欲しい。

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