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敷金と礼金を見直そう!
前回は、リスク管理についての誤解を解きました。全ての入居者でリスクを取ることはありません。満室までの残り 1 割~ 2 割の空室について、リスク管理できる範囲で受け入れることです。このとき、定期借家契約は必須となります。また、ハード(設備)ではなくソフト(各種ルール)で、予期できるトラブルの予防線を張ることも重要です。
さて、第13回は「敷金と礼金を見直そう」です。
単純に敷金・礼金ゼロにすれば、借りる側から選ばれやすくなり空室対策になります。ただ、契約一時金を下げると、質の悪い入居者が集まりやすいと言われています。これは本当なのでしょうか?
残念ながら本当です。経験則的にその傾向にあると言えます。
保証会社の利用と定期借家契約で対応可能!
しかし、保証会社の利用と定期借家契約によるリスク管理で十分対応可能です。
なぜなら、家賃が回収できて、不良入居者を退去させられるのなら、リスクが顕在化しても被害を最小限に抑えられるからです。リスク管理ができると敷金を預かる意味も減少します。敷金の役割は入居者の債務の担保なのです。入居者の債務とは家賃の支払いと、物件を損壊したときの賠償です。
ところが、家賃滞納は保証会社にリスクを転嫁できます。また、物件を損壊したときの賠償は損害保険にリスクを転嫁できます。となると敷金は後で返金するのが煩わしいだけの存在になります。
なお、敷金を原状回復費に充てる考えは改めましょう。通常使用の損耗分は家賃に含まれています。ですので、入居者は故意・過失による損壊を除き、原状回復する債務を負わないため敷金と相殺ができません。
礼金はもはや時代錯誤!
礼金の起源は諸説あるものの、昭和14年の「地代家賃統制令」により家賃を増額できなくなったときに、その抜け道として生まれたと言われています。ですが、今は住宅余りの時代です。その証拠に、逆礼金とも言えるフリーレント(一定期間家賃無料)のある物件が増えつつあります。
いかがでしたでしょうか。
今回は大家さんにとって厳しい内容だったかもしれません。しかし、地方だけでなく、都市部のサブリース物件も、契約一時金がゼロに近づいてきていることは知っておいてください。この流れを理解しようとせず、敷2礼2で募集していては空室が埋まらないのは当然です。
次回は、適正な家賃設定をする方法を紹介します。