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とある幸福論1によると幸福には3つのインフラ(インフラストラクチャー=下部構造)があり、それは「自由」と「自己実現」と「絆」の3つで構成されているのだそうです。
ちなみに、1つだけでも幸福感は得られるものの、その1つを失うと途端に不幸のどん底まで落ちるので2つはほしいところ。また、一般論として、1つだけに執着すると、逆にその1つが手に入らなかったり遠ざかったりすることは、あなたにも心当たりがあることでしょう。
幸福度を構成する3要素
1つ目の「自由」は、お金の話。いわゆる経済的自由のこと。この自由があれば、好きなことができるし、嫌なことをする必要がありません。
2つ目の「自己実現」は、やりがいの話。お金だけあって自由でも、やりがいのある何か…仕事でも趣味でもないと人生は面白くありません。
FIREした人が1年くらい世界旅行したり夜の街で遊び歩いたりした挙げ句、途方に暮れるのは「自己実現」できていないからです。
3つ目の「共同体=絆」とは、家族愛や友情のような人と関わりを持つもの。親子関係は強烈な共同体=絆で幸福度に大きく貢献します。しかし、簡単に関係を切れないので不幸にもなるという諸刃の剣。
一方で、たまたまSNSで知り合った気の合う友人(ただし本名すら知らない)は、関係がゆるい共同体=絆である替わりに、何かあればすぐに関係を断ち切れます(逆に切られることも)。これはこれで心地よい幸福感があるものです。
最もコスパが良いのは「自由」
このなかで「自由」がもっともシンプルでコスパが良いものです。
具体的には、年収800万円〜と純資産1億円〜を目指すだけ。途中でも年収や資産が増えるに従い、幸福度が上がります。
ただし、それ以上は幸福度があまり増えないのだそう。
真夏に冷たい水を飲むのはおいしいけど例えば5杯目にもなると「もういいや」ってなるアレ(限界効用逓減の法則)がお金にも働くのです。
ちなみに、ほかの「自己実現」と「絆」は、数値で評価できないから「もう十分」の判断は難しいものになります。
アパート経営は投資か事業か論争!?
不動産投資やアパート経営が「投資」なのか「事業」なのか意見がわかれます。
これは、上記の幸福度を構成する3要素から説明ができます。
もし、あなたが、ある程度「自己実現」できているけれど「自由」が足りずに幸福度が低いのなら、不動産投資は「投資」と考えるといいでしょう。
具体的には、株式投資や投資信託の延長で考えてOKです。
もし、あなたが、ある程度「自由」を手に入れているけれど「自己実現」が足りずに幸福度が低いのなら、不動産投資は「事業」と考えるといいでしょう。
具体的には、不動産会社やリフォーム会社とチームを作ったり、入居者と顔を合わせたり、宅建業の免許を取得するなどの方向性を選びましょう。
以下では、より具体的な説明をしていきます。
自己実現ができているなら投資
もし、あなたが現役世代で、昼間の仕事などから、ある程度の「自己実現」が出来ているなら、不動産投資で自己実現を目指すことはないのです。
例えば、
- 世界経済の成長を支えているのはグルーバル企業に勤めている俺たちだ!!
- 日本の食料事情を支えているのは俺たち商社マンだ!!
- 日本が安全なのは防衛省の俺たちのおかげだろ!?
みたいな人たちのことです。
わざと大げさに3つの例を出しましたが身近な例なら
- 日々AI研究で新たな発見に驚きのある楽しい毎日を過ごす研究者
- 子供たちが健康に育っているのを毎日支えているお母さん
- 地域のボランティア活動に勤しむおじいさん・おばあさん
みたいな感じです。
こうした人たちは、別段、大家コミュニティーの飲み会で語れる武勇伝は必要ありません。
難易度の高い物件に手を出して、日々の仕事に悪影響があるようでは幸福度が下がりますので、本末転倒です。
株主総会に出席したりファンドマネージャーに意見したりすることがないのと同じように、不動産会社に口を出さないといけないような物件に手を出すことはないのです。
具体的には、都心の築浅区分マンションみたいなものを所有していればいいのです。
ある程度の自由があるなら事業
もし、あなたが定年退職をしていたりFIRE(早期リタイア)済みだったりするなら、不動産投資は「事業」として取り組みましょう。
そうして「自己実現」=やりがいを手に入れることで幸福度は上がります。
前提として、不動産投資が「好き」であることです。
自己実現はあなたの時間を使います。ですので「好き」で続けられることが重要です。
ちなみに、昼間の仕事で自己実現を得られていないのなら、なんとか時間を作って好きな不動産投資を行い、稼げるようになり「自由」=年収800万円〜資産1億円〜を手に入れるレベルになれば、幸福度は爆上がりですね。
時間というリソース(資源)は有限
そうはいっても「その時間がない」のが現役世代の辛いところ。
近年はコストパフォーマンス以上にタイムパフォーマンスを重視する風潮にあります。
今回の話ですと、自己実現=やりがい=労働なので、時間を消費します。
時間は有限なので、普段から使っている「自己実現」に、更に不動産投資(不動産事業)として時間を使うには、1日24時間というリソース(資源)は全く足りません。
それでも…と次のような方法はあります。しかしデメリットが大きいものです。
- 睡眠時間を削る ▶ 健康を損なう。30歳くらいまでならなんとかいける?
- 3番目の絆(家族や友人との時間)に使う時間を削る ▶ 妻子がいるなら難しい。独身の方は容易?
こうして考えてみると、不動産投資を始めるなら若いうちに、となります。
もっともこれは投資全般に言えることですよね。
- 幸福の「資本」論 橘玲(著)